おいでよ、ボードゲーム沼! ~未経験者のあなたにこそ、是非~
「ボードゲームが趣味です。」
と、自己紹介でよく話す。
すると、多くの人から
「最近流行ってますよね、でも私は人生ゲームくらいしかやったことなくて…」
と言われる。
こんなとき、折角なら、と声を大にして言いたいのが、
「なんでも良いから、有名で面白いといわれているボードゲームを3種類くらい試しにやってみて!!!!!」
ということだ。
理由を説明…の前にボドゲってなんぞやというところから少し話させていただきい。
そもそもボードゲームというからには、将棋やチェスやモノポリーみたいに盤があるんでしょうとよくおもわれがちだが、その限りでない。
カードやコマを使ったりするだけのものも多々ある。
例えば、僕の家にはいま30種類近いボードゲームがあるが、実際に皆が想像するようなボードを使うようなものは半分くらいだ。
そのどれもが(当たり前だけど)独自のルールで最適化された世界へあなたを誘う。
本当はその一つ一つを実践しながら面白さを伝えたいところだけど、今回は個人的な見解に基づいた概論を述べるに留めることとする。
ボードゲームの魅力は、
『世界観』『連帯感』『その人らしさ』
に集約される(と個人的に考えている)。
まず、『世界観』だが、これがゲームの根幹を示すといっても過言ではない。
あるときプレイヤーは、開拓者として村を発展させたり、殺人事件現場の探偵として犯人を突き止めたり、商人としてオークションに参加したり、怪獣の脅威から国を守る政府の一員として立ち回ることとなる。
一方、上記のようなワクワクする王道とは外れて、実際にその場にいる人に片想いを演じたり、自分の脳の副人格に支配されたり、ブラックな職場でパンを作ったり、ボディビル大会のマッチョな出場者にキレッキレの声掛けをするなんてシチュエーションもある。
そのどれもに共通することが、仮想世界の中で、決められたルールのもと、時には仲間と協力し合い、時にはだましあいながら、勝利をつかむ努力をするということだ。
これが凝った設定であればあるほど面白くて、キャラを演じながらセリフをしゃべってみたり、まるで普段の自分とは違ったような気持ちになったりすることもある。
読書や映画が好きな人は、この、非日常への手軽なトリップ、ということの素晴らしさをよく知っていると思うので、かなり楽しめるはずだ。
○○になってみたいあなた、の夢を叶える非常に優れた代物なのだ。
次に、伝えたいのは『連帯感』だ。
僕は割とはじめましての人と一緒にボードゲームをすることも多々あるのだけど、終った後ビックリするくらい仲良くなる。
厳密にいうと、歴戦を共にしたかのような不思議な連帯感が芽生える。
そもそも、ボードゲームの基本設計として、勝ち負けもそうだが、誰もが楽しめるように作られている。
時には仲間として、時には敵として。
参加者は互いにリスペクトしあいながら展開を進めていく。
そのなかで面白いなと思うのは、やっぱり、どうしてもゲームだから運の要素もある程度の比重を占めるところだ。
まじか!と歓声を上げながら参加者同士で思わずハイタッチしてしまったり、うそだろ!と大爆笑しながら負けを認めるような展開もざらにある。
そんなわけで(ものによるが)、結局頭が良いからと言って勝てるわけでもないから、誰でもが楽しめるし、その感情の振れ幅をオンタイムで共有できる。
会って2時間も経たずに、繋がったようにいられるのは、感情のジェットコースターを一緒に乗って、笑顔で帰ってくるからなのだと思う。
最後に、ボードゲームは『その人らしさ』を明らかにする。
展開が進むにつれて、あなたは必ず何かを迫られる。
そのときどきのシチュエーションであなたはここぞと見極めて勝負をしかけたり、または負けないための戦法に切り替えたりするだろう。
そのようなことを繰り返していると、他人と比べた自分の性格というのが浮き彫りになってくる。
また、ゲームだからということで普段の自分と違う挑戦をしてみたりもする、そのことによりまた自分にはこういった戦い方は合う合わないを知ることになる。
僕自身の経験で言うと、現実世界の悩み事をすっかり忘れてプレイしていたつもりが、プレイヤーになりきってゲームを進める中で、そうか自分はやっぱこういう性格だよなと改めて気付いて、悩みの根本的な解決に至ったことがある。
ボドゲを通して、自分を知る。
そして、今日、ボドゲ楽しかったな、という思いが明日からの活力になる。
人の悪口で盛り上がる飲み会や、無尽蔵にお酒を飲みながら同じ会話を繰り返す飲み会で夜のひとときを過ごしたって良い。
ただ、「たまにはボードゲームするか」が選択肢に入ってくる人生というのは劇的に輝くものになると思っている。
『世界観』『連帯感』『その人らしさ』
熱く語ってきたが、ボドゲに少しでも興味を持ったら是非やってみていただきたい。
きっと、まだ見ぬ新たな世界で素敵な仲間と出会い、自分をもっと知ることができるはずだ。
ここまでお付き合いしてくださった方、ありがとうございます。
抽象的過ぎてなんじゃほらと思った方々に向けて、以下、最近のオススメを3つほど紹介します。
①シャーロックホームズの追悼
これはホームズの、公開されなかった物語。
プロローグ | シャーロック・ホームズの追悼 | ESCALOGUE
ボードゲームを紹介すると言っておきながら、初手から謎解きゲームを紹介するという。
謎解き、と聞くと専用の施設に行って遊ぶイメージなどもあるもしれないが、これはこのキットさえあれば自宅で出来る仕様となっている。
結論から先に言うと、僕がこれまでに体験した謎解きで、ストーリー・興奮度・感動度すべてにおいてダントツの1位だ。
僕の大好きな小説家である河野裕が脚本部分を担っている小説型の謎解きで、プレイヤーはLINEを駆使しながら物語を進める。
本当に最高だった…。
ここまでクオリティの高い謎はもう出会えないんじゃないかという出来…。
願うことならもう一度記憶を消してやり直してあの時の興奮を味わいたい…。
プレイ後アンケートの満足度は驚異の99%。
低くつけた人も、普段とは違う小説テイストの謎解きが慣れなかったというだけの理由。
謎解き初めての人でもヒントを見ながら進められたり、難易度の調整も神がかっているので、悩んだら絶っっっ対に買っていただきたい。
本当に面白いし、僕は感動し過ぎて後半指が震えました。笑
このクオリティでこの値段は、プレイ後に罪悪感でいっぱいになるくらい安いです。
②スカルキング・レジェンド
最近やったトリックテイキングで一番好きなゲーム。
トリックテイキングとはボードゲームのジャンルみたいなもので、「全員が場に1枚ずつカードを出して、勝者が決定する(これを1トリックという)のを何回も繰り返して最終的に勝ち数が多い人が優勝となる」という感じのものを指す。
ルールを詳しく書くと大変なことになるので他人の説明を勝手に拝借↓
ざっくりいうと、強さの違うカードを出し合って、自分が何トリック勝つことができるのかを予想し、合っていたらポイントが加算されるというゲーム。
10回戦までやった総合ポイントで最終的な勝敗は決まるが、1回戦は1トリック、2回戦は2トリック…と後半になればなるほど、自分が何回勝てるかを予測するのが難しくなる。
手札が強かろうが弱かろうが、結局何回自分が勝てるのか当てないとポイントが手に入らないという運要素少なめな設定も非常に面白い。
絶対に勝てるカードがあったり、こいつには勝てるがこいつには負けるというカードがあったり、全員を強制的に負けにさせるカードがあったりと大番狂わせがよくおこるのでめちゃくちゃ盛り上がる。
皆でヨーホーホー(ゲームを始めるときの掛け声)言うとテンションが上がります。
③まじかる☆ベーカリー〜わたしが店長っ!
問題作。表紙詐欺の代表例的ボードゲーム。
プレイヤーはそれぞれがパン屋を開業し、ほかのプレイヤーよりも多くの売り上げを上げたら勝ちな経営シミュレーションゲーム。
ただ、売り上げを高める方法がえぐい。
バイトを圧迫面接で雇ったり、金庫を破ったり、他プレイヤーのオーブンを奪い取ったり、魔法をつかってありとあらゆる邪魔をする。非道極まりない。
「力さえあれば人も金も奪えるよねっ☆」という感じのボードゲームなので、絵柄に騙されないようにしましょう。
以上!ボードゲームやりたい人はぜひ声かけてくださいー!一緒にやりましょー!